第六章〜罠・そして4〜





ラルフの暴走により第三軍が壊滅してから二日が経過した。ここテラの砂漠

には太陽の光が痛々しく突き刺さる。風は殆ど吹いておらず、まだ朝になった

ばかりだが、気温は50度を余裕で超えており、普通に歩くことは困難な状況

だった。


腕を吹っ飛ばされ、体中の血を放出したラルフは、一人、この砂漠にたどり

着いていた。


 「・・・・畜生、セルキスめ、絶対に倒す!!」

しかし、その言葉は空しくも言葉とならず、ラルフは砂漠に突っ伏した。


死期が訪れたのだった。


これまで、自分の野望は必ず成し遂げてきたラルフにとって、最初で最後の

挫折だったのかもしれない。しかし、無情にもラルフの死期が近い事を悟り、

砂漠の猛獣達が虎視眈々と狙っている。


 ガキッ!!!


ラルフの右足に何かが食らいついた!既に感覚のなくなっているラルフには、

痛みは無いが、煩わしく思った。何とか得体の知れない猛獣から逃れようと、

必死に体を動かしているつもりだが、全く動く事は出来ない。


 バリバリッ!!!


段々とその音は大きくなり、その猛獣はついにラルフの腰まで食らい始めたが、

ラルフの意識はほとんど切れかけていた。


と、そこへ、


 「シュレーダーよ。お前のその反骨心・・・気に入ったぞ。もう一度チャンスを

 やろうではないか。」


頭の中に太い声が響き渡る!


これは・・・マタリエルの声だった。


 「お前の体をこの魔物が食らい尽くす時、お前は生まれ変るのだ!!

 フフフ、ハッハッハッ!!」


そういうと、マタリエルの声は消えていった・・・


 「そう、俺はシュレーダー家の唯一の生き残り、ラルフ。

 ラルフ=シュレーダー。両親は黒魔術の・・・」


そんな言葉が一瞬意識をよぎったが、すでにラルフの体は、巨大な

カマキリの魔物に頭まで食い尽くされていたのだった。



第六章 完