
ラルフの暴走により第三軍が壊滅してから二日が経過した。ここテラの砂漠
には太陽の光が痛々しく突き刺さる。風は殆ど吹いておらず、まだ朝になった
ばかりだが、気温は50度を余裕で超えており、普通に歩くことは困難な状況
だった。
腕を吹っ飛ばされ、体中の血を放出したラルフは、一人、この砂漠にたどり
着いていた。
「・・・・畜生、セルキスめ、絶対に倒す!!」
しかし、その言葉は空しくも言葉とならず、ラルフは砂漠に突っ伏した。
死期が訪れたのだった。
これまで、自分の野望は必ず成し遂げてきたラルフにとって、最初で最後の
挫折だったのかもしれない。しかし、無情にもラルフの死期が近い事を悟り、
砂漠の猛獣達が虎視眈々と狙っている。
ガキッ!!!
ラルフの右足に何かが食らいついた!既に感覚のなくなっているラルフには、
痛みは無いが、煩わしく思った。何とか得体の知れない猛獣から逃れようと、
必死に体を動かしているつもりだが、全く動く事は出来ない。
バリバリッ!!!
段々とその音は大きくなり、その猛獣はついにラルフの腰まで食らい始めたが、
ラルフの意識はほとんど切れかけていた。
と、そこへ、
「シュレーダーよ。お前のその反骨心・・・気に入ったぞ。もう一度チャンスを
やろうではないか。」
頭の中に太い声が響き渡る!
これは・・・マタリエルの声だった。
「お前の体をこの魔物が食らい尽くす時、お前は生まれ変るのだ!!
フフフ、ハッハッハッ!!」
そういうと、マタリエルの声は消えていった・・・
「そう、俺はシュレーダー家の唯一の生き残り、ラルフ。
ラルフ=シュレーダー。両親は黒魔術の・・・」
そんな言葉が一瞬意識をよぎったが、すでにラルフの体は、巨大な
カマキリの魔物に頭まで食い尽くされていたのだった。
第六章 完
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