
「ラルフも、やってくれたな」
マタリエル軍の陣地では、ダークナイトの提督が、エレナと部隊長クラスを
相手に作戦会議を行っていた。エレナはその心情とは裏腹に、唇をきゅっと
引き締め、提督の次の発言を待っている。しかし、この数日間、彼女は表に
出てくる事は無く、今日、ようやく人前に現れたのだった。
「まあ、よい。問題はどうやって砦を落とすかだ。参謀の意見はどうか?」
「・・・はい、先日の勝利の余韻もつかの間、いよいよウーノスの偽情報が
広まり、砦の兵士は同様を隠せない模様です。士気は下がりきり脱走者も
出始めていると報告があります。」
「そうか、では、戦いどきだな。」
しかし、正直なところ、ラルフの死は非常に痛かった。一万のダークナイトのみ
ならず、ラルフのその猛々しいまでの攻撃力は、やはり捨てがたかった。
「よし!全軍で叩く!最後の決戦と思えよ!」
提督は皆にそう伝え、そそくさと出て行った。
「総力戦・・・・・・・か」
エレナはそうつぶやくと、ジッと目を閉じるのだった。
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